マンション管理費滞納と時効中断

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マンション管理費滞納と時効中断

マンション管理費は5年間で時効にかかってしまいます。
5年の時効期間というとかなり長く感じるとは思いますが、マンションにおいて5年近い管理費の滞納というのは珍しくありません。

マンションの場合、管理費を滞納をしている債務者もその督促をする立場の理事も同じマンションの区分所有者である場合がほとんどですから、理事の方もあまり強く言えず、少しくらいの管理費滞納であれば、支払えるようになるのを待つということが多いようです。また、理事の任期は1,2年であることが多いので、管理費滞納を解消する前に理事が交代し、問題が先送りにされてしまうケースも少なくありません。
また、マンションの管理会社に管理費問題を任せきりにしてしまっているマンションというのも少なくありませんが、管理会社は弁護士法72条の規定がありますので滞納管理費の回収業務を行うことができません。
そうすると、そのうちに段々と管理費の滞納が重なり、時効期間である5年近く滞納が続くという結果になってしまうのです。

それでは、管理費の滞納開始から5年になりそうなときはどうすればよいのでしょうか。

その場合、時効中断の措置をとる必要があります。

民法が定める時効中断事由は以下の3つです。

  1. 請求
  2. 差押え、仮差押え又は仮処分
  3. 承認

請求とは、権利者が自己の権利を主張することをいいます。
権利者であるマンションの管理組合が管理費の滞納者に対して、管理費を支払うように主張することです。
しかし、裁判外での催告は、6か月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事事件手続法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じないとされています。
したがって、滞納管理費の時効を中断させるためには裁判上の請求、すなわち、管理費の支払請求訴訟を裁判所に提起する必要があります。

承認とは、債務者が債務の存在を知っていることを債権者に対し表明することです。
マンション管理費滞納問題においては、滞納をしている区分所有者がマンションの管理組合に対して、自分が管理費を滞納していることを認めることです。
例えば、滞納管理費の確認書を提出することは債務承認に当たります。
また、滞納管理費の一部を支払うことも債務承認に当たり得ますし、滞納者がマンションの管理組合に対して滞納管理費の支払猶予や分割払いの申入れをすることも債務承認に当たります。

時効完成前にいずれかの時効中断事由が発生すれば、時効は中断し、時効期間はその中断事由が終了した時から、リセットされてまたゼロからスタートすることになります。

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