滞納管理費回収と内容証明郵便

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

滞納管理費回収業務における内容証明郵便のメリット・デメリット

【メリット】

・滞納者に心理的な圧力がかかる

内容証明郵便という特殊な形で督促をすることによって、相手方にプレッシャーを与えることができ、任意での支払による回収が期待できます。

・督促をしたという証拠になる

どのような文面の書面を送ったかが証明できますので、後に裁判になったときに有利な証拠として使えます。具体的には、裁判外での請求から6か月以内に訴訟を提起すれば、時効を中断することができますが、内容証明郵便で請求をしていれば、それが裁判外の請求をした証拠になります。また、管理費等の支払請求訴訟では、将来分の管理費等の支払も請求することが一般的ですが、その将来請求を認めてもらうための理由として、内容証明郵便による督促を行ったけれどもその後も支払ってこなかったということを主張するための証拠になります。

【デメリット】

・専門家に作成を依頼すると1~5万円の費用がかかる

法的な内容証明郵便の作成は一般の方には難しいと思われるので、行政書士や弁護士等の専門家に依頼されることが多いと思います。その場合、費用が1万円~5万円かかります(弁護士の場合、3~5万円が一般的です。)。

・法的な強制力はないため効果が薄い

インターネットが発達した現代においては、内容証明郵便に法的な拘束力がないことは、簡単に調べることができます。別に強制力がないなら払わなくてもよいと考える滞納者は多いと思いますので、内容証明郵便の効力は滞納管理費の回収という意味ではあまり期待できません。

・相手方が逆上をしたり、意地になる可能性がゼロではない

むしろ、滞納初期の滞納者の場合、内容証明郵便のような仰々しい方法を取ったことに対して、逆上をしたり、意地になって支払を拒否するということもあり得ます。

・迂闊なことを記載すると後に不利になる可能性がある

専門家のアドバイスを仰がずに内容証明郵便を作成してしまうと、組合にとって不利なことを記載してしまうことがあります。記載内容によっては、本来は回収できたはずの管理費や遅延損害金等が回収できなくなってしまうこともありますのでご注意ください。

内容証明郵便には、以上のようなメリット・デメリットがありますが、管理費等請求訴訟を前提としない場合デメリットの方が明らかに大きいと思います。回収の効果がほとんど期待できませんので、専門家に依頼するのはお金の無駄だと思いますし、専門家に依頼しないのであれば逆に組合に不利な状況が発生する可能性もあります。

管理費等請求訴訟を予定しているのであれば、弁護士に依頼をして、適切な時期に適切な内容の内容証明郵便を送付しましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメント

コメントを残す

*