マンション標準管理規約の法的拘束力について

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「そのような規約の条項はマンション標準管理規約に違反し、許されない。」

「マンション標準管理規約によれば○○であるから、○○すべきである。」

インターネット上のサイトを閲覧していると、このような記述を見かけることがあります。
裁判上で相手方から主張をされることもあります。

それでは、マンション標準管理規約とは一体どのようなものでしょうか。
マンション標準管理規約とは、国土交通省が定める規約の雛形です(国交省HP)。

国土交通省が定めているのであるから、各マンションにおける規約は、それに従ったものにする必要があると思っている人が少なくないようです。
また、規約に定めがない事項については、マンション標準管理規約によるべきと考える人も少なくないようです。

これは、完全な誤りです。

マンション標準管理規約には、何の法的効力もありません。
法律や省令等の法令ではなく、指針です。
言ってみれば何の法的効力もないただのガイドラインであり参考資料です。
規約は遵守する必要がありますが、マンション標準管理規約に従う必要は全くありません。

国土交通省も「マンションが重要な居住形態となっている中で、マンションの快適な居住環境を確保するため、区分所有者は、具体的な住まい方のルールを定めておくことが重要であるとともに、社会的には、マンションを社会的資産として、その資産価値を保全することが要請されている。 このような状況の中で、管理組合はマンションを適正に管理するよう努め、国は情報提供等の措置を講ずるよう努めなければならない旨の適正化法の規定を踏まえ、国は、管理組合が、各マンションの実態に応じて、管理規約を制定、変更する際の参考として、このマンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメントを作成し、その周知を図るものである。 」とコメントをしております(平成28年3月14日国土動指第89号、国住マ第60号、平成28年3月31日国土動指第91号、国住マ第77号、平成28年3月31日国土動指第91号、国住マ第77号)。

弁護士であっても裁判上でマンション標準管理規約を主張の根拠にするケースが散見されます。
もちろん弁護士であればマンション標準管理規約に法的拘束力がないことは当然分かっていますので、個別の規約の解釈基準としてマンション標準管理規約を持ち出しているに過ぎないと思われるのですが、前述のとおりマンション標準管理規約は管理規約制定・変更の際の参考に過ぎませんので、解釈基準にもなり得ません。個別の規約の解釈はあくまでその規約自体から導かれなければならないものです。国土交通省の指針に過ぎないマンション標準管理規約が解釈の基準となるべき理由はありません。

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