マンション管理費滞納をしてしまうと以下のようなデメリットがあります。
遅延損害金の発生
マンション管理費の滞納は民法上は金銭債務の債務不履行に当たりますので、当然に年5%の遅延損害金の支払義務が発生します。
さらに、多くのマンション管理組合には管理規約で年14%~18%の遅延損害金の利率が定められていますので、民法上の年5%ではなく規約に定められた利率の遅延損害金の支払義務を負うことになります。
年14%以上の利率というは消費者金融かそれ以上の金利ですので、放っておくと非常に大きな金額になります。
弁護士費用の支払義務
マンションによっては管理規約によって管理費滞納に対して遅延損害金に加え違約金としての弁護士費用等の支払義務を定めている場合があります。
そうすると、例えば元金100万円、遅延損害金20万円の滞納があったとすると、それに対し弁護士費用32万4000円(※)がかかることになりますので、総支払額は152万4000円となり、元金100万円に加えて52万4000円もの支払をしなければならないことになりますので、滞納者の負担としては非常に大きいものになってしまいます。
※当事務所の場合(120万円×25%+消費税8%)
マンションの部屋の価値が低下する
区分所有法8条により、管理費滞納のあるマンションの部屋の特定承継人はその滞納管理費の支払義務を承継しますので、その滞納管理費分を控除した金額でなければ、そのマンションの部屋を購入することはありません。
すなわち、滞納管理費分だけマンションの部屋の価値が低下するということです。
これは任意売却の場合でもそうですが、競売の場合、滞納者はマンションの価値の低下と滞納管理費の求償という二重の負担を負う可能性があります。
例えば、競売市場で1000万円の物件があったとして、200万円の管理費滞納があれば、単純計算でその物件は800万円でしか売れないことになります。さらに競売で落札した新所有者が滞納管理費を支払うとその新所有者は200万円を前所有者に求償することができますので、前所有者は200万円安くしかマンションを売ることができず、さらに200万円の求償を受けてしまうという二重の負担を負わされることになります。
この結論が妥当かどうかには議論がありますが、東京高裁平成17年3月30日判決はこれを是認する判断をしております(前記事参照)。
マンション内での立場の悪化
マンション管理費を滞納してしまうとマンション内で居心地の悪い思いをすることは避けられません。
管理費滞納は明確なルール違反ですので、他の組合が声に出して批判しないとしても、肩身の狭い思いをすることは間違いありません。
子供がいる家庭の場合、問題はさらに深刻化します。
マンション管理費滞納を理由にイジメなどがなされるのは言語道断であり、決して許されるものではありませんが、子供の場合は大人以上にコミュニティが狭いわけですから、気まずさや居心地の悪さは大人の比ではないと思います。
マンション管理費の支払はマンションに住む以上最低限の守らなければならない義務なのですから、管理費滞納に陥らないように常日頃から注意をしておく必要があり、万が一滞納せざるを得ない状況になったらすぐに管理組合に相談するなど、対応をとる必要があると思います。