任意交渉における管理費滞納者に対してのアドバイス

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管理費の滞納者と任意の交渉をすることがあると思います。滞納の理由として、管理費を支払う資力がないという者に対してどのようなアドバイスができるでしょうか。

単に滞納管理費を支払えというだけでは、滞納者から支払う資力がないと言われ、堂々巡りになってしまう可能性が高いです。
なぜ滞納管理費を支払うことができないのか、その原因を探り、滞納管理費を解消する方法を滞納者とともに考え、滞納者にとっても利益になる方法を見つけることができれば、滞納者もそれに従い、滞納管理費の支払をしてくれる可能性があります。

①家計の見直しによる滞納管理費の解消

まず、一番最初に検討するべきなのは、家計の見直しです。滞納者のほとんどは管理費等は支払わないけれど、住宅ローンや光熱費、スマホをはじめとした携帯代、車の維持費、保険料などの支払を行っています。要するに、管理費等に対する債務の弁済の順位を意図的に下げているのです。

管理費等はマンションの共益費であり、支払わなければ居住者全員の不利益になるものです。それを支払わずに、自らの利益になる債務の弁済に回すのは許されることではありません。家計を見直すことによって、管理費等への支払の順位を上げさせるべきです。

②借入れによる滞納管理費の解消

家計を見直すだけでは滞納を解消できない場合、金融機関からの借入れを検討するべきです。借入れをしてでも、他の区分所有者に迷惑をかけないようにするべきであるという理由もありますが、金融機関の借入利率の方が管理費等の遅延損害金の利率(以前の記事)よりも低いことが多いため、借入れをした方が滞納者の利益にもなります。

マンションの部屋に抵当権を設定できるのであれば一番良いですが、銀行のカードローンであれば比較的審査も通りやすいですし、借入利率も滞納管理費の遅延損害金の利率よりも低いことが多いので、検討に値すると思います。

③マンションの任意売買による滞納管理費の解消

借入れもできないような状況であれば、マンションの任売を検討するべきです。管理費の支払義務は毎月発生するものであり、遅延損害金も発生しますので、解消しなければどんどんと増大していきます。管理費の滞納は次の所有者が承継しますので(管理費の承継)、物件価値から差し引かれます。すなわち、早めに売却しないとどんどんとマンションの価値が下がってしまうことになります。さらに、任売ではなくて、強制競売になってしまった場合、競売市場性修正が働きますので、任売のときの6~7割くらいの価格でしか物件が売れないこともありえます。少しでも高く売れる方が滞納者の手元にお金が残りますので、強制競売は絶対に避けるべきです。オーバーローンの場合でも金融機関と相談できることがありますので、滞納管理費の解消が不可能となったら、すぐに任売を検討するべきでしょう。

管理組合様にとっては、滞納管理費を回収することが一番重要ですが、滞納者にとっても有益になることですので、アドバイスをしてあげても良いのではないでしょうか。

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