マンションは誰のものか―エレベーターの維持管理は誰がしなくてはならないのか?

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分譲マンションにおいて、マンションの各部屋(専有部分)は、所有権の目的になりますので、その部屋を購入するなどして所有権を取得した人(区分所有者)のものとなります。
これは自然的な感覚として誰にでも理解できるものです。

それでは、マンションのエレベーターは誰のものでしょうか。

これは感覚的に勘違いをしてしまっている人も多いと思います。
つまり、マンションを販売した販売会社や(多くの場合その子会社である)管理会社だと思い込んでしまっている人がいるのではないでしょうか。

しかし、これは誤りです。

専有部分以外のマンションの部分は区分所有者全員の共有になります(区分所有法11条1項)。
つまり、エレベーターはマンションの区分所有者全員のものということになります。

このような部分をマンションの共用部分といいます。
ほかには、マンションの外壁や階段、玄関ホールなどが共用部分に当たります。
また、規約によって、マンションの一部屋を管理人室として共用部分にしているマンションもあります。

共用部分は、マンションの区分所有者全員の共有ですから、その維持管理はマンションの区分所有者が行わなければならず、またその費用は、原則として、マンションの区分所有者全員が持分に応じて負担することになります。
すなわち、エレベーターの保守点検はマンションの区分所有者が行わなければならないものであり、その費用もマンションの区分所有者全員が負担しなければなりません。マンション管理会社がエレベーターの保守点検業務を行っているマンションが大多数だと思いますが、それはあくまで管理組合(マンションの区分所有者全員によって構成される団体)がマンション管理会社に当該業務を委託しているに過ぎないのです。

まずはエレベーターをはじめとしたマンションの共用部分が自分たちの共有であるということを意識することが、適切なマンション管理の第一歩ではないでしょうか。

 

 

【参考条文】

建物の区分所有等に関する法律

(建物の区分所有)
第一条  一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

(定義)
第二条  この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
2  この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
3  この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4  この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
5 (以下省略)

(共用部分)
第四条  数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。
2  第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

(共用部分の共有関係)
第十一条  共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。

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