マンションにおいては、「規約」(「管理規約」という言い方をすることが多いと思います。)を設定することができます(区分所有法31Ⅰ)。
「規約」は、区分所有法によって定めることが認められているルールで、区分所有者は規約の内容に賛成したか否かにかかわらず、これを守らなくてはなりません。
多くのマンションでは、分譲時に全区分所有者の書面による規約設定の合意がなされているので、分譲完了時にはすでに規約が存在していることが多いと思います(区分所有法45Ⅱ・31Ⅰ)。
したがって、新築でマンションの部屋を購入した区分所有者は、自分で規約に合意しているため、この規約を遵守しようとする人が多いように思います。
しかし、中古でマンションを購入した人は規約設定に関わらないことがほとんどですので、「そんな契約をした覚えはない。」などと主張し、マンションのルールである規約を守らない人が多い気がします。
(以上は、あくまでの私の経験による印象ですので、そうでないことも多々あります。)
「規約」はマンションにおけるルールですので、そのルールを前もって知っていようがいまいが、マンションの一員となる以上は守らなければなりません。
一部に「規約」を守らない人がいるとマンション全体の規律や秩序の乱れにつながりますので、そのような人に「規約」を守らせることが管理組合の重要な責務といえるでしょう。
※ちょっと難しい話になりますが、「規約」を全区分所有者が守らなければいけない理由は何でしょうか。
これは、「規約」の法的性質は何かということになるのですが、あまり議論されていないところだと思います。
一種の契約とみるのか、法規範とみるのかということになりそうです。
私見ですが、「規約」は区分所有者全員の合意がなくても設定や変更が可能なこと、反対者を救済するような規定が区分所有法にないこと、規約の存在を知らずにマンションの部屋を購入した者にも当然に効力が及ぶことなどからすると、当事者間の合意を擬制することは困難に思いますので、「規約」は、区分所有法で制定が特別に認められた法規範であると考えるべきだと思っています。
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